○森ゆうこ君 希望の会、自由党の森ゆうこでございます。三年ぶりに質問をさせていただきます。
TPPについての質問に入る前に、私の、新潟県、地元で発生いたしました鳥インフルエンザについて、先ほどお話ございましたけれども、私の方から対応について伺いたいと思います。
この間、農水省の皆さん、そして協力いただいている自衛隊の皆さん、そして何よりも米山隆一新知事を本部長といたしまして、県の皆さん、対応に邁進してくださっていることに敬意を表したいと思いますし、また、今般発生いたしました業者の皆さんに心からお見舞いを申し上げたいと思います。
総理にはもう先ほどいろいろお話しいただきましたので、とにかく封じ込める、感染を拡大しないということについて御決意を、一言だけで結構ですので、お願いいたします。
○内閣総理大臣(安倍晋三君) 先ほどるる説明をさせていただきましたが、やれることは全てやるとの考え方の下、鳥インフルエンザの防疫措置や家禽業者への対応等に万全を期していきたいと思っております。
○森ゆうこ君 ありがとうございます。
先ほど御紹介いたしました新潟県の新しい知事、米山知事は、私、選対本部長をさせていただきましたが、先般の新潟県知事選挙におきまして、原発再稼働イエスかノーか、これを最大の争点として戦いました。大多数の県民の皆さんは、再稼働ノー。そして、さらにもう一つの大きな争点がTPPでございました。新潟県は米どころでございます。農業を守るために、そして国民生活を守るために、TPPには断固反対、うそ付かないとは米山知事は言いませんでしたけれども、TPPから新潟の農業を守るということで新しい知事になりました。
まず、これたくさんあるんですけど、これでも本当は全部じゃないはずなんですが、今日、私はこの第五分冊を集中して質問させていただきたいと思います。十五分しかないので、あと十三分しかないのでお願いいたします。
まず、この協定文書第五分冊の最後のページなんですが、二千八百九十七ページの「(この附属書中他の締約国の表は省略。我が国は、表を作成していない。)」、これで終わっているんですけど、これどういう意味ですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 御指摘の附属書四でございますが、TPP協定本文の第十七章、国有企業及び指定独占企業章でございますけれども、この中で、国有企業等が物品又はサービスを購入又は販売するに当たり、商業的考慮に従って行動すること、他の締約国の企業に対して無差別待遇を与えること、国有企業への優遇措置により他の締約国の利益に悪影響を及ぼしてはならない、こういった義務が規定されております。
附属書四は、各国が自国の国有企業等によるそうした義務に適合しない活動について留保するという、その留保表でございます。例えば、マレーシアにつきましては、ブミプトラと言っておりますが、マレー系企業についての留保、それからベトナムにつきましては遠隔地、山岳地帯の経済発展に資する場合など、国ごとにその特性を踏まえた例外が定められているところでございます。
我が国につきましては、国有企業十社ほどを想定しているわけでございますが、いずれに対しても、無差別待遇の義務、商業的考慮の義務及び優遇措置に違反する法令なり政策を採用していないために、附属書四において留保する必要がないと判断したものでございます。
○森ゆうこ君 他の国は作成しているのに、なぜ日本は留保を設けなかったのか。これ、表にしてきちんと後ろに付けないと、こういう国有企業についてのルールというのは今回初めてなんですよ。自由貿易協定だというふうに宣伝していますけれども、これは全然自由貿易協定じゃなくて、もうありとあらゆる様々なルールを決めるという中に、国有企業を民間の企業と全く同じ競争にできるだけさらしていくということでこの国有企業の章があるわけですけれども、ほかの国はみんなここのリストに載せましたよね。なぜ日本だけないんですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 先ほどの繰り返しでございますが、我が国国有企業、十七章の国有企業等の定義に該当するもの十社ほど想定しているわけでございますが、それぞれ精査した結果、十七章の義務に違反するような法令、政策は我が国においてございませんので、留保する必要がないということでございます。
ちなみに、ほかの国は、それぞれ違反するおそれがあるという、そういう中で、違反するおそれがあるものとして留保していると、こういうことでございます。
例えば、アメリカは我が国の住宅支援機構に相当するファニーメイ及びその関連の企業を留保しているわけでございますが、我が国の場合は住宅支援機構、独立行政法人でございます。定義上、独立行政法人は国有企業に当たりませんので、これはそもそも留保する必要がないわけでございますが、アメリカの場合は、それが民間企業という立て付けでございますので、留保する必要がある。
それぞれがそれぞれの国の特性を踏まえて判断を行っているところでございます。
○森ゆうこ君 今、独立行政法人が国有企業に当たらない、このTPPの協定におけるその定義に当たらないというふうに御説明されましたけれども、それ違うんじゃないですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 国有企業章の十七章に国有企業の定義がございまして、皆さんよく、締約国が五〇%を超える株式を直接所有する企業などのところから判断される方が多いんですけれども、柱書きで「主として商業活動に従事する」という定義がございますので、この定義をもって我が国の独立行政法人のようなものは外れるというふうに考えております。
いろんなTPPに対して批判的な本の中で、ALICが該当するとかありますが、全くそれは違うというふうに考えているところでございます。
○森ゆうこ君 でも、今政府はそういうふうに言ったわけですけれども、これは国有企業に当たるかどうか他の締約国から疑義が示される場合があるわけでして、別に商業活動というのを勝手に日本の方で定義付けているわけですけれども、他の国からもこれは商業活動をしている国有企業ではないかと言われる可能性があるわけですから、そういう係争のおそれはないんですか。
○政府参考人(澁谷和久君) 国有企業章につきましては、私どもが交渉に参加してから、交渉中も記者ブリーフィング等で概要については御説明を申し上げてきたところでありますけれども、各国鋭く対立をした、俗に難航している三分野とかという中に常に入っていた分野でございます。
特に途上国においてはこの規定を設けること自身についての大変な抵抗があったというところの中で、条文を相当精査をして、我が国としても各省に照会をした上で条文、我が国が交渉に参加してから実質的な議論がもう始まっておりますので、十分そこは精査の上、各国とも十分協議をした上で条文を構成していると、このように理解しているところでございます。
○森ゆうこ君 アメリカでさえ、これ翻訳されていない附属書ですけれども、この中に、先ほどありました住宅金融公庫系の会社ですとか、そういうところをきちんとこの対象にならないように除外しているわけです。ここに除外されないと、ここの十七章における国有企業及び指定独占企業に対して行われる規制の範囲になってしまうわけですから、大切な国策企業、国有企業に対しては最初にこれは留保しておく必要があるわけですよね。
でも、これ比べようとしても、どういう企業がそのような対象になっているのか、検討しようと思っても、これ全部英文なんですよ。
岸田大臣、これ何で翻訳しないんですか。
○国務大臣(岸田文雄君) まず、これは基本的には過去の様々な協定、WTO協定あるいは我が国の締結した経済連携協定に共通する取扱いでありますが、協定本体はしっかり訳します。それ以外の附属書と言われる部分ですが、これは、先ほど議論にも出ておりますように、留保ですとか約束あるいは物品の関税率表、こういった部分ですが、これについては量が膨大であるということ、特にTPPの場合は七千九百ページ、大部にわたります。
そういったことから、従来、ほかの協定と同じように、この部分については、我が国が直接関連する、我が国が履行すべき義務を指定する部分、これはしっかり訳しています。しかし、それ以外の部分については、分かりやすく説明書を作成するという対応、これ従来からこういった対応を行ってきています。
そういったことから、今御指摘の部分については、説明書を作成するという形を取り、直接訳することはしていない、こういった対応を取った次第であります。
○森ゆうこ君 先ほど大野議員、民進党の大野議員、大変いい質問をされたと思うんですけれども、その答弁の中で、今回のこのTPP協定留保のリストは協定の一部であるというふうに御答弁をされました。ですから、この協定の一部であるので、留保を外すときにはもう一回国会で議論をしてもらうという御答弁でした。ほかの国のものについても、今回のこのTPPは、リストは協定の一部じゃないんですか、比べられないじゃないですか。先ほどおっしゃったんですよ、大臣が。リストは協定の一部だとおっしゃったんです、そう答弁されました。
○国務大臣(岸田文雄君) 御指摘のとおりであります。TPP協定における留保、これを変更する場合においては協定の変更になるということで国会の承認が必要になるという御説明、先ほどさせていただきました。
そして一方、和訳をするか説明書で対応するか、これは我が国が関わる部分かどうか、これで線を引いております。協定本体、間違いなくしっかり訳しています。
そして、附属書の部分については、我が国が関わる部分についてはしっかりと訳をしています。それ以外の部分については、説明書を作るという形でより分かりやすく御理解いただけるような工夫をしている、これが従来の、従来からWTO協定あるいは他の経済連携協定において行っている対応であります。同様の対応をした次第であります。
○森ゆうこ君 委員長にお願いをいたします。
ほかにも訳していない部分、膨大にあるんですけれども、そういうもので比較をしないと、先ほどは、自民党は八二%関税撤廃、八二%だけだったから、これって自慢できないと思いますけど、というふうに他国と比較して自慢していましたけど、本当に頑張って交渉できたのか、国会の審議の中で比較しようがないじゃないですか。
資料を全部訳していただきたい、資料を全部訳してこの委員会に提出をしていただきたいと委員長にお願いしたいと思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○委員長(林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議いたします。
○森ゆうこ君 それと、もう時間がないんですけれども、もう一つ、公共調達についてお聞きをしたいと思います。
これも最後、国別のリストがないのでなかなか比較ができなかったんですけれども、これ地方の公共調達についても、国だけじゃなく、公共調達についても、要は規制緩和、外国の企業が参入をする、そういうことになっております。しかも、英語なんですよ、英語を使いなさいと。これ、やれるんですかね、地方の自治体は。
これ、各国ともそうなんですか、岸田さん。全ての国が、締約国、締約各国、いや、岸田さん、ほかの国もこういうふうにオープンにするんですか。
○政府参考人(山野内勘二君) お答え申し上げます。
TPPにおける政府調達に係る我が国の義務でございますけれども、これは基本的にWTOで我々が負っている義務の範囲内でございますので、TPPにおいて新しい義務が生じるということではございません。
それと、今御指摘の英語については、英語について表記する努力をするという義務を負っているところでございます。
○森ゆうこ君 地方政府に関してですけれども、アメリカの地方政府も全部開放するということになったんでしょうか。
○政府参考人(山野内勘二君) 米国においては、地方政府をWTO上の義務から免除しているというところがございます。
○森ゆうこ君 ということで、いろいろ公正ではないというふうなことがいろいろまだまだあるということで、時間になりましたので、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
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